概 要
アルミ導体内部の欠陥検出では、電流オフ後に発生する過渡渦電流の時間変化を正確に把握することが重要です。
本解析事例では、動磁場解析ソフト PHOTO‑EDDY を用いて、電流オフ直後に導体表面へ集中する渦電流が、時間の経過とともに欠陥深さへ到達し、さらに導体深部へ広がる様子を可視化しました。
渦電流の局所集中や欠陥周辺の電流密度変化を評価することで、過渡渦電流を利用した欠陥検出の理解を深める解析事例をご紹介します。
本ページでは、励磁コイルの電流オフに伴って導体内部で発生する過渡渦電流の挙動を解析し、その時間推移を可視化します。
解析対象は、貫通穴の側面に欠陥を有するアルミ導体と励磁用の円形コイルで、寸法は Teams Workshop Problem 27※を参考にしています。
※https://www.compumag.org/wp/team/
解析モデルの外観およびアルミ導体と励磁コイルの位置関係を図1‑1に示します。導体内部の様子が分かるように 1/2 モデルとし、計算時間短縮の観点から解析も 1/2 モデルで実施しました。
本例題では、時間変化する渦電流分布を解析するために、動磁場解析ソフトウェア PHOTO‑EDDY を使用しました。PHOTO‑EDDY は、過渡的な磁場解析に適したソフトウェアです。
図2-1にメッシュ分割図を示します。有限要素法を利用した磁場解析で必須となる空気メッシュも含めて、図示しています。
図2-2は、空気メッシュを非表示にした解析対象のメッシュ分割図です。本事例では、表面に集中する渦電流を解析するため、表皮層メッシュを設けています。
解析条件
電流値は、素線1本あたりの電流値1.5[A]×巻き数445[Turns]から667.5[AT]としました。
図2-3に電流波形を示します。図2-3の点線で囲まれた電流オフ時を解析します。
解析結果
渦電流密度のコンター図を、図3-1~図3-7に示します。
time = 1.0e-6[sec]
time = 5.0e-5[sec]
time = 1.0e-4[sec]
time = 5.0e-4[sec]
time = 7.5e-4[sec]
time = 1.0e-3[sec]
欠陥箇所拡大図
time = 1.0e-3[sec]
まとめ
電流オフ直後にはアルミ導体表面に渦電流が集中する表皮効果が現れ、時間の経過とともに渦電流が欠陥の存在する深さまで到達し、さらに導体深部へ広がっていく様子を可視化しました。
また、導体内部の構造や傷の存在によって、局所的に渦電流密度が高まる領域が生じることも確認できました。
これらの過渡的な渦電流分布は、パルス渦流探傷(PEC: Pulsed Eddy Current)として非破壊検査に応用されています。
動磁場解析ソフトウェアPHOTO‑EDDYを用いることで、このような過渡的な電磁現象を視覚的に把握していただけます。
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