解析あれこれ 3. 磁場解析入門講座「第2回 材料特性」


第2回 材料特性

今回は磁場解析で必要な物性値をご紹介します。“磁場”解析ですので、材料の磁気特性、また電気特性を考える必要があります。

まず磁気特性について分類します。

1.比透磁率
2.B-H曲線
3.ヒステリシス
4.異方性

これらすべてを入力する必要はありません。解析内容に応じて、選択する必要があります。

磁場が変動する場合は渦電流が流れるため、電気特性が必要になります。

5.電気伝導率
6.異方性

磁気・電気特性が温度に依存する場合もあります。

では、磁気特性から考えます。

まず、磁場の強さH[A/m]と磁束密度B[T]との関係式は

   

と表すことができます。ここで、μは透磁率です。

さらに、

   

と表すことができ、μrは比透磁率、μ0は真空の透磁率です。

1.比透磁率
磁性体の周囲の磁場が小さければ、比透磁率を数値で入力して解析することができます。いわゆる線形解析になります。μrを入力します。
線形解析では、磁場を発生させる電流を大きくすると磁束密度も比例して大きくなります。大きな電流を流す場合、ありえない大きさの磁束密度になることもあり、そのような解析結果が得られた場合は条件を見直す必要があります。 また、等方性が前提となっています。
    
          図2−1.線形と非線形解析


2.B-H曲線
大きな電流を流す場合には磁束密度が飽和するような条件、初期磁化曲線を入力しなくてはなりません。 このような解析を非線形解析と呼んでいます。初期磁化曲線をBとHの点列を使って、入力します。 本来、軟磁性体もヒステリシスを持ちますが、保磁力が小さいので、ここは近似して、初期磁化曲線で考えることにします。 この方法でも良い結果が得られます。こちらも、等方性が前提です。
    
        図2−2.非線形特性(折れ線で表現)

B-H曲線をデータとして取り込むには図2−2のように、折れ線で表現し、 “節”に当たるところにおける磁束密度に対する磁場の強さの組みで表現した点列を用います。

非線形計算ではニュートンラフソン法が用いられることが多く、反復して計算するため線形解析に比べて、 計算時間が長くなります。


3.ヒステリシス
ヒステリシスは過去の状態によって、磁場が異なる現象です。 図2−1(a)のように、磁場の強さと磁束密度は1対で表現されているため、ある磁場の強さあれば、磁束密度が決まりますが、 図2−3のようにヒステリシスの場合は、一つの磁場の強さHにおいても、過去の状態によって、取りうる磁束密度Bが異なります。 ヒステリシスを磁場解析に適用する方法は種々考案されています。 (株)フォトンでは自由エネルギーを使用した手法を開発・搭載しています。 詳細はこちら->

    
           図2−3.ヒステリシス曲線(例)


4.異方性
一般に透磁率はテンソルで表現されます。BとHが平行でない場合が表現できます。成分で書きますと以下のような表記になります。 この成分を入力します。

    



次は電気特性です。電流密度J[A/m^2]と電場[V/m]との関係式は

    

と表すことができます。ここで、σは電気伝導率です。

5.電気伝導率
磁場が時間的に変動する場合に、導体が解析対象に含まれると、渦電流が流れますので、電気特性として、電気伝導率を入力する必要があります。 単位は[S/m]です。静磁場解析では渦電流が流れませんので、使用しません。電流が変動しても、 絶縁体のように電気伝導率が小さい場合は無視することがあります。


6.異方性
電気伝導率も同様に、テンソルで表現されます。こちらもJとEが平行でない場合も表現できます。 この成分を入力します。

    


ここでは、基本的な項目についてご紹介致しました。 電気機器に使われる磁気材料を加工(切断など)したときに生じる加工ひずみや、焼嵌めがなされている場合には磁気特性が劣化します。 より厳密な解析を望まれる場合はこのようなことも加味しておく必要があります。


解析条件を決める際に、「磁性体かどうか」、「磁場が時間的に変動するかどうか」、「導体かどうか」、を前もって、把握してく必要があります。

●ポイント
磁気特性:比透磁率やB-H曲線を使う
電気特性:磁場が変動する場合は電気伝導率を使う

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