曲線座標 6. 曲率

ベクトルに対して共変微分を2度行った場合一般に共変微分の順序によって結果が異なる。まずベクトルvの反変成分についてxi、xjの順に共変微分を行う。
この式の右辺は第1項、4項および第3項と5項の和が添字i,jの入換えに対して対称であるから、添字i,jを入れ替えたものとの差をとると次の式が得られる。
この式の左辺は3階のテンソルの成分であるから右辺はベクトルと4階のテンソルの縮約と考えられる。そこで、
とかくと上式は次のようになる。
このテンソルは(5−4)式のカッコの中と一致するので(5−4)式は、
となる。ただしこの式では添字ijについては和をとらない。
空間が平坦な場合は、大域的なデカルト座標をとることができるのでこの式の左辺はゼロとなる。なぜならデカルト座標系ではベクトルの平行移動は経路によらないからである。したがってこのテンソルもゼロとなる。ある座標系でテンソルの全ての成分がゼロであればテンソルの変換によりどの座標系でもゼロとなる。
(6−1)式で定義されるテンソルRklijはリーマン・クリストッフェルの曲率テンソルとよばれる。定義式より、
である。ここでこのテンソルの他の対称性を調べるために次のように4つの成分を全て共変成分にとした表現に変える。
ここで、
を使うと次のようになる。
少し変形して整理すると次式が得られる。
ここで、
であるから、このテンソルは次の対称性を持つことが分かる。
また(6−1)式より次の関係も導かれる。
つぎに(6−1)式の添字kjについて縮約した次のテンソルを考える。
このテンソルはリッチのテンソルとよばれ次に示すように対称テンソルである。この式の右辺第1項、3項、4項が添字l、iについて対称であることは明らかなので第2項の対称性について調べる。まず、
である。ここで計量テンソルの行列式をgとかくと座標による微分は次のようにかける。
ただしΔijは要素gijの余因数であり最後の変形はクラーメルの公式を使った。これを使うと上の式は、
となるので(5−11)式の右辺第2項は次のようになる。
これよりリッチのテンソルが対称であることが示された。
リッチのテンソルから次のスカラー曲率が定義できる。
例として半径aの球面においてこの曲率テンソルを計算する。球面座標の場合(4−36)式より、
であるから、
となる。これを使って、(5−7)式を計算する。(5−3)式、(5−8)、(5−9)式の対称性よりゼロでない成分は次のようになる。
これよりリッチのテンソルおよびスカラー曲率を計算すると次のようになる。
この例から分かるように球面は平坦な空間ではなく曲率テンソルがゼロにならない。
次に曲率テンソルについてもう少し調べる。(5−2)式の両辺にgmkをかけて計量テンソルが共変微分と交換できることを使うと次の式が得られる。
右辺に(5−8)式を使ってmlの添字の交換を行い添字mをkとかきなおすと次のようになる。
二つのベクトルu νから作られるテンソルに共変微分をおこなうと、
となる。これより微分の順番を変えたものを差し引くと次のようになる。
これよりテンソルに関して次の関係が成り立つ。
ここでテンソルtとしてベクトルの共変微分、
として(5−19)式に代入し、(k,i,j)の循環置換した式をつくると、
となる。この式をたしあわすと、左辺は(5−18)式を使うと次のようになる。
一方右辺は(5−10)式より第1項の和はゼロとなるから、
となる。これより、
となる。ここでvmは任意であるから次の関係が成立する。
これはビアンキの恒等式とよばれる。 (5−20)式で添字mkについて縮約すれば、
となる。(5−8)、(5−11)式より次のようになる。
さらにgliをかけて縮約すると、
となるが、左辺第1項は、
次のように変形できるので次の式が得られる。
添字を上げて整理すると次のようになる。