曲線座標 5. ベクトルの平行移動

曲線座標におけるベクトルの平行移動を考える。デカルト座標の場合ベクトルの平行移動を行ってもベクトルの成分は変化しない。曲線座標の場合場所によって基底ベクトルが変化するので一般にベクトルの成分は変化する。
ベクトル場の微分は座標xのベクトルと無限小の離れた座標x+dxのベクトルの比較を行いその差から計算される。曲線座標の場合この微分は共変微分である。共変微分がゼロになるのはdx平行移動したベクトルがその点におけるベクトルと等しいことを意味している。 したがって、ベクトルを平行移動するとベクトルの成分が次の式を満たすように変化する。
これよりベクトルの成分の変化は、
となる。有限の距離の平行移動はこの式を積分すればよい。点pにおけるベクトルを点qまで平行移動した場合の成分の変化は、
となる。空間が平坦な場合この積分は経路によらない。
ここでこの積分が経路によってどのように変化するか調べる。まずベクトルvをxi座標軸に沿ってdxi平行移動し、その後xj座標軸に沿ってdxj平行移動した場合ベクトルの反変成分νkの変化Δνkを求める。xi座標軸に沿ってdxi平行移動するとベクトルの成分は、
となる。ただしここでは添字ijについては和をとらないものとする。このベクトルをxj座標軸に沿ってdxj平行移動すると次のようになる。
次にベクトルvをxj座標軸に沿ってdxj平行移動し、その後xi座標軸に沿ってdxi平行移動した場合ベクトルの反変成分νkの変化は上の式の添字ijを入れ替えたものであるから、
となる。このカッコの中がゼロであれば(5−3)式の積分は経路によらない。 曲線座標で直線に対応する線は測地線とよばれる。いまパラメータτを使って測地線を、
であらわすと測地線に沿ったベクトル、
が測地線に沿って常に平行であると考えられる。このときτを距離sに選ぶとこのベクトルの長さは常に1となる。(5−2)式より、
であるから、測地線の方程式は次のようになる。
測地線は2点間の距離が最小になる線であることが次のようにしてわかる。 点pから点qまでを結ぶ線をパラメータα、を使って、
のようにかき、このパラメータを動かして距離の、αによる変分が次式をみたすようにする。
αによる変分を、
とかく。
(2−11)式をαで微分すると、
となる。ここで、
に注意すると上の式は次のようになる。
したがって(5−9)式の左辺は、点pと点qでαによる辺分がゼロになることより部分積分を使って変形すると、
となるので次の式が成立する。
この式にglkをかけると(5−7)式が得られる。