電磁気学入門 12. 動的な電磁場

静的な電磁場を求めたように今回は動的な電磁場を求めます。マックスウェルの方程式を、電磁ポテンシャルを使って表現すると、
となります。ただしローレンツゲージを採用しρには分極電荷、Jには分極電流、磁化電流が含まれているものとします。
ここで電磁ポテンシャルを次のようにフーリエ変換します。
同様に電荷や電流もフーリエ変換すると、
となります。(1)、(2)式にこれらの式を代入すると次の式が得られます。
(7)式や(8)式の成分は次のようなかたちの方程式であることが分かります。
ここで次の方程式をみたすグリーン関数G (x,x')を導入します
ただし、
ディラックのデルタ関数です。この関数を使うと、
とあらわされます。ただし右辺の積分は点x pを含む領域V の体積積分で、この領域が点x pを含まない場合はこの式の左辺はゼロとなります。(10)式を使うとこの式は、
となります。右辺に部分積分を2回行って変形しガウスの発散定理を使うと次の方程式が得られます。
ここにはS 領域V の境界面で、ベクトルnは境界面に外向きに取った単位法線ベクトルです。さらに(9)式を使ってこの式の右辺をかきかえて項をならべかえると、
となります。
これを使うと、(7)、(8)式の電磁ポテンシャルは次のようになります。
(10)式をみたすグリーン関数は、
とかけば、
となることが知られています。これを使うと例えば、
となりまた、
となります。この右辺第2項は、
と変数変換して変形すると次のようになります。
これらを使うとフーリエ変換前の電磁ポテンシャルは次のようになります。
ここで、となっていますが、の場合を先進ポテンシャルとよび未来の値によって電磁場が決まることを意味し、の場合を遅延ポテンシャルとよび過去の値によって電磁場が決定することを意味しています。したがって今後遅延ポテンシャルを使うことにします。
さらにこれらの式を、
を使ってかきなおすと次のようになります。
ただし面積分内の電磁ポテンシャルは時刻のときの値です。表面積分が消える場合は、
となりますが、積分にあらわれる電磁場の源である電荷密度や電流密度の時刻が電磁波の伝播する時間だけ過去のものとなっていることを除けば静的な電磁場のときと同じ式で表されることが分かります。